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カテゴリ:絵 の記事一覧

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2011.01.30

故郷の記憶

Julian_Onderdonk_A_Cloudy_Day_Bluebonnets_near_San_Antonio.jpg
Julian Onderdonk(1882-1922)/《A CLOUDY DAY, BLUEBONNETS NEAR SAN ANTONIO, TEXAS 1918》/カンヴァス・油彩/
テキサス州フォートワース、Amon Carter Museum


故郷の記憶。
ひとのこころに波打つ、やさしい幻。

曇天にけぶる青い花は、テキサス州の州花、ブルーボネットです。
花弁の形が、開拓時代の女性が被っていたボンネット(日よけ帽子)にBluebonnet.jpg
似ているところから、その名が付されました。
背丈は30cm程で、3月から5月にかけて州各所を青く染めます。
テキサスでは、毎年この時期に、家族でこの花を観に行くことが
慣わしになっているそうです。
(右は、アメリカ陸軍工兵司令部により撮影された テキサス
ブルーボネットの写真です)


ブルーボネットの波をこえ、子どもはやがて大人になり。
大きくなった家族は分裂し、各地に散っていきます。
それぞれの新たな繰り返しの中、複雑に織り込まれた記憶の目に ふと顔を出す
あの日のブルーボネット。
その青は、どのブルーボネットとも違う、同時にすべてのブルーボネットに共通する、
あざやかな、やさしい青。

故郷の記憶は、織り帰してゆくうちに無類の色合いとなり、その人をやさしく纏います。
多少ほつれたり、ささくれだっているとしても。
その人だけの持つ、せつなくいとしい幻影に違いないと 思うのです。

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2010.12.06

《神秘の騎士》

redon_mystical-knight_convert.jpg《Le chevalier mystique》/オディロン・ルドン/
1867(1869)-1890(1894)年、または1892年頃/紙・木炭・パステル/100×81.5cm/フランス、ボルドー美術館
※絵をクリックすると拡大します
※タイトルは画家本人が付けたものではありません


制作過程、意図、主題…
画家の作品のなかでも、最も謎が多い
絵の一つとして知られています。
オディロン・ルドン―自作を語る画文集 夢のなかで
にも、覚書はありませんでした。

少し調べたら、以下の見方がありました。
・左の人物の抱く首(女性である)は
欲望の克服の象徴である
・左の人物は救国の聖女ジャンヌ・ダルク
である
・モローの《スフィンクスとオイディプス》
(1864)に影響を受けている
・木炭で描いた後 20数年を経て補彩した

しかし 見解は見解の域を超えず、謎は謎のまま存在しています。

左の人物の謎めいた微笑みと、指。
腕の中で浮遊する首。それを見つめる翼の女性。
場所も時間も目的も、不明。

個人的には、右の 翼の人物の表情が 自分の気持ちと重なります。
うまく言えないのですが、遠く 手が届かないもの ―たとえば些細で、愛しい過去の断片― を
見つめているような、切なく透明な気持ちになります。


当画廊には、他のルドン作品もいくつかあります。興味をお持ちのお客様は、是非そちらもご覧下さいませ。
タイトルは記事の最後に(ルドン1/4)

                                                                

2010.11.17

《ニューベリーポートの牧草地》

newburyport_meadows.jpg
《Newburyport Meadows》/Martin Johnson Heade(1819-1904)/1872-78年/カンヴァス・油彩/26.7×55.9cm/ニューヨーク、メトロポリタン美術館
※絵をクリックすると拡大します


ニューベリーポートは、マサチューセッツ州の小さな街です。
雨上がりでしょうか。
重い黒雲が押しやられ、切れ目から 光が差しています。

のぼり おちる、太陽と水。
生まれ 子を残し 死んでゆく、いきものたち。
どこかで見たことのあるような、どこにもない風景。

描かれたものたちは 形を変えつつも、くりかえし生き続けている…
そして それが繰り返し描かれていく…

ぼんやり絵を眺めていて、そんなことを考えました。

                                                                

2010.09.28

《秋(L'Automne)》

lweldenhaukins_autumn_convert.jpgルイ・ウェルデン・ホーキンス/1895年頃/カンヴァス・油彩/73×53cm/ロンドン、Victor Arwas Gallery
※画像をクリックすると拡大します。



平坦な背景に対し、女性の身体は
しっとりとした質感を持っています。

花を挿頭(かざ)し 髪をなびかせる
彼女は、風に こころを澄ますように
穏やかに目を閉じています。
一方で、植物は 風の影響を受けて
いないようです。

あくまで個人的な感想ですが…
彼女は「 秋 」 そのものであるように
思えます。

決められた時期に香りはじめる木犀。
日ごと確実に、 遠く、 透明になる
大気と光。

約束通りに舞い降りた彼女 ― 秋 ― の
後ろから、背景が本物に変わってゆき、
秋の世界が 呼吸しはじめる… 
何となく、そんなイメージが浮かびました。


同じ画家の作品記事に 《ヴェール》 があります。

                                                                

2010.08.27

《サトコ》

   Sadko_convert_20100827125059.jpg
イリヤ・レーピン/1876年/カンヴァス・油彩/322.5×230㎝/サンクトペテルブルク、ロシア美術館

むかしむかし。
美声を誇る、琴弾のサトコという男がいました。
あるとき、サトコが交易のため船にのっていたところ、海王に、海の底の国へと招かれます。
一人海底に沈んだサトコは、そこで莫大な富を得て、王女と結婚することになりますが、
祝宴の席に現れた聖人の声と幻影により、海底の王国は姿を消し、サトコは妻や仲間の元へと帰りました。
この作品は、サトコが海の王族と出会うシーンです。

サトコは右の男性です。
彼を横目に見ながら 王族の行列が続きます。
サトコの目線の先には、彼を待つ妻の姿があります。
幻想的な作品ですが、同時に人物の心理が伝わってくるようで 面白いです。

また、日本の竜宮物語は ラストが物悲しいことに対し、こちらは大団円で終わるのも興味深いです。



以下は作家情報です。
イリヤ・レーピン(Илья Репин、1844-1930)は、よく知られたロシアの画家・彫刻家です。
通っていた美術アカデミーの狭量さを批判、美術は民衆の為にあると主張し、一般大衆を題材にした
作品や歴史画を多く描きました。
彼とその仲間は、街から街へと移動しながら美術展を開いたため、「移動派」と呼ばれます。
以前ご紹介した、 イヴァン・ビリビン の師でもあります。

                                                                
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