TOP > 2009年08月

2009年08月 の記事一覧

| |

--.--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
                                                                

2009.08.30

《陽光、あるいは陽光に舞う塵》

Hammershoi_sunlight.jpg
《Støvkornenes dans i solstrålerne》/ヴィルヘルム・ハンマースホイ/1900年/カンヴァス・油彩/70×59cm/デンマーク、オードロプゴー美術館

がらんとした部屋に、窓から光が射し込んでいます。
光の道筋に映る塵は、この室内が 空気の動かない、
閉鎖した空間であることを示唆しています。

―未来のない恋愛を、遠く 冷静に見つめる
 もう一人の自分。
 秋のような澄んだ痛み。 空っぽの、こころ。

ふと、そんな記憶がよみがえりました。
床にうつるやわらかな光が、静かな哀しみを、少しだけ
和らげてくれるように感じました。

スポンサーサイト
                                                                

2009.08.29

チュルリョーニス


ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス(Mikalojus Konstantinas Čiurlionis、1875-1911)は、
リトアニア人の画家であり、作曲家です。
Mikalojus_Konstantinas_Ciurlionis_convert.jpg
兎尾珈琲店 画廊では、これまでに チュルリョーニスの絵画を
いくつかご紹介してきましたが、少し多くなってきましたので、
新たに 絵:チュルリョーニス カテゴリーを作りました。

ご紹介したい絵画が沢山ある反面、なかなか記事にすることが
できず、不本意な日々が続いています。体調が芳しくないので、
特に、絵に関しては遅更新となってしまうと思います。
今後も彼をはじめ 様々な画家の作品を紹介していく気持ちは
変わりませんので、長い目でみていただけると幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

兎尾珈琲店 店員 ginaso

                                                                

2009.08.29

《プレリュード(騎士のプレリュード)》

 miestas_preliudas_convert.jpg
《Preliudas(Vycio preliudas)》/ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス/1909年/テンペラ・紙/58.9×70.4cm/リトアニア共和国国立M.K.チュルリョーニス美術館

街を駆ける 古(いにしえ)の騎士。

あかく霞む街は、チュルリョーニスが愛したリトアニアの都市、ヴィリニュス(Vilnius)が
モチーフではないかと考えられています。
ヴィリニュスは、14世紀初頭にリトアニア大公国の首都になり、発展してきた国際都市。
現在は、リトアニア共和国の首都かつ同国最大の都市として繁栄しています。
国際都市というと聞こえは良いですが、裏を返せば 幾度となく戦場となり、支配国が変わり、
決して穏やかとはいえない歴史をくぐってきた街でもあります。
thumb_convert.jpg

中央の騎士は、14世紀半ばよりリトアニア大公が使い始めた
紋章がモチーフであると考えらています。
ヨーロッパでも最古の紋章の一つである、この「騎士」が誰なのか
様々な憶測がなされていますが、定まっていないようです。
現在は、リトアニア共和国の国章(右図)として定められています。

チュルリョーニスの時代には、リトアニアはロシア帝国の支配下に
ありました。
それ以前に、リトアニアはポーランドの一地方と化しており、自治権を失っていました。
画家は生家ではポーランド語を話し、地元の学校ではロシア語で授業を受けていました。

赤茶けた街をつつみこむように 騎士はゆっくり駆けていきます。

街が焼かれようとも、他国に蹂躙されようとも。
大地に育まれた精神は、その土地の人々に連綿と受け継がれて。
麦ひと筋にも、レンガ一片にも。ほの温かに 宿り続けていくものなのかもしれません。

                                                                

2009.08.24

ちょっと涼しい話

  STS-124_Karen_window_convert.jpg 
  「きぼう」をみつめるKaren Nyberg氏/2008年6月10日/NASA撮影


   あっついから窓 開けちゃったわよ。


嘘です。
カレン・ナイバーグ宇宙飛行士が、スペースシャトル「ディスカバリー号」の窓越しに、
国際宇宙ステーション(ISS)の一部「きぼう」をみている所です。
ISSとは、地上約400Km上空に浮かぶ巨大な有人施設。建設の主目的は、宇宙での実験や
研究を通して 科学や技術を進歩させ、地上の生活に役立てること。来年完成する予定です。
以下は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)による、ISSの説明の一部です。

人類にとって初めての「国境のない場所」―それが、ISSです。
米国、日本、カナダ、欧州各国(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、スペイン、オランダ、
ベルギー、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン)、ロシアの計15ヶ国が協力して計画を進め、
利用していきます。
ひとつのものを作り上げるために、これほど多くの国々が最新の技術を結集するという
プロジェクトは、これまでにまったくなかったこと。ISSは、世界の宇宙開発を大きく前進させる
ための重要な施設であると同時に、国際協力と平和のシンボルでもあるのです。


15ヶ国により協力して進められ、利用される 国際協力と平和のシンボル。
外務省が把握する世界の国数は、193。 足元がふわふわして、ちょっと落ち着かないです。

                                                                

2009.08.21

仮面

'Pierrot photographe'/1854年/Félix Nadar氏撮影
か‐めん【仮面】
1 人間・動物などの顔をかたどって
  素顔にかぶるもの。マスク。

2 本心や素性を隠すもの。
  「とりすました人の―をはぐ」 (大辞泉より)


ピエロの仮面が外れています。

人はいくつの仮面を持っているのでしょう。
仮面を外すときはどのような時でしょうか。
好きなことに没頭しているとき?
ぼんやりしているとき?

もし、仮面を外した下の「顔」が
「好きなことに没頭しているときの仮面」
「ぼんやりしているときの仮面」だったら?

素顔はどこにあるのでしょう…?

                                                                

2009.08.20

カリヨンの響く街

Arie_Abbenes_convert.jpgユトレヒト、ドム塔のカリヨン奏者Arie Abbenes氏/
Paulus_2氏撮影/2006年10月1日


カリヨン(carillon) とは、様々な音高を持つ
多数の鐘を組み合せた打楽器です。
手動の場合には、23鐘2オクターブ以上の
バトン式鍵盤と足鍵盤を叩き、それを鐘に
伝えて演奏します。

演奏している場所は オランダ、ユトレヒト
大聖堂に隣接する ドム塔(Domtoren)。
1321年から建設が始まり、1382年に
一応の完成をみました。

Domtoren_vanuit_het_zuiden_convert.jpg





    高さ112mのこの塔は、オランダで最も高い教会塔で
    あり、この高さを越える建物を建ててはならないという
    不文律が現在も守られているそうです。

    465段の階段を上がると、ユトレヒトの街が見渡せます。
    現在のベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3ヶ国を
    合わせた地域をネーデルラントと呼ぶことがありますが、
    ユトレヒトは中世を通じ、北部ネーデルラントで 最も
    重要な都市であり続けました。

1581年に、ネーデルラント北部7州がユトレヒト同盟を結成、スペインから独立を宣言したことから、
この街は、オランダ(ネーデルラント王国)のはじまりの地ともいわれています。

塔が建設されてから620余年。沢山の人や様々な出来事に関わり、街は変わリ続けています。
しかしカリヨンは、昔から変わらぬ音色を、この街のすべてに、等しく響かせ続けてゆくのでしょう。
これまでも、これからも。すべての記憶を鐘に託して。

カリヨン(Arie Abbenes)とフルート(Jerome Minis)の共演 ― YouTube                                                                  

2009.08.17

《友情》

Biciulyste_convert.jpg
《Friendship(Bičiulystė)》/ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス/1906-07年/パステル・紙/72,5×62,9cm/リトアニア共和国国立M.K.チュルリョーニス美術館


やさしく輝く 私の世界。
やわらかな私の子どもたち。

愛しいすべての 輝火へ。
私はあなた あなたは私。
大切に、途絶えることなく
護りつづけて ゆきましょう。

栄えあれ我らが リトアニア。
大地の絆 永遠に続かん。
( 以上は管理人が付けた詩です)

《王のおとぎ話》で、すでに
書きましたが、チュルリョーニスの
作品の中で王や神は良き保護者、
超自然の存在としてしばしば登場
します。
この作品も、王(神に近いでしょうか)は国を護る超自然的存在として描かれています。

こういったイメージには、リトアニア古来の自然崇拝も関係しているように思います。
リトアニアは、ヨーロッパ他国に比べてキリスト教化が遅かったため、長く自然崇拝が続いていました。
現在は主にカトリックを信仰する国ですが、他宗教にも寛容であり、自然崇拝もよく残っています。
それは、昔からあるリトアニア人の名前に見ることができます。
例えば、
Audra アウドラ(女性)/Audrius アウドリュス(男性)=嵐
Austėja アウステーヤ(女性)=蜂の守護神(豊かさや家の発展、花嫁などの女神)
Gabija ガビヤ(女性)=火の女神
Rasa ラサ(女性)=露
Rūta ルータ(女性)=リトアニアの国花
Saulė サウレ(女性)/Saulius サウリュス(男性)=太陽
Ugnė ウグネ(女性)/Ugnius ウグニュス(男性)=火    などなど。

このうち、Austėja(蜂の守護神)、Gabija(火の女神)、Rūta(ルータ)、Ugnė(火)は、2007年リトアニア国家統計局まとめ「赤ちゃんの人気名前ランキングトップ10」に入っています。
(参考:リトアニアナビ)

                                                                

2009.08.09

First Suspenders

First_Suspenders_convert.png
満面の笑顔でサスペンダーを掴む少年/
1904年2月10日/アメリカ議会図書館
(Prints and Photographs Division(P&P))所蔵






よろこびにかがやく笑顔。
100年経っても色褪せない眩しさ。








                                                                

2009.08.08

イヴァン・ビリビン(イワン・ビリービン)

イヴァン・ヤコヴレーヴィチ・ビリビン(Иван Яковлевич Билибин、1876-1942)は、
世紀末から20世紀初頭にかけて、最も影響力を持ったイラストレーターとして知られています。
挿絵のほか、バレエや歌劇の舞台デザイン、装飾デザインなどの分野で広く活躍しました。

ここに紹介する作品は、いずれもプーシキン作 『サルタン王の物語』 の挿絵で、アール・ヌーヴォーと
いう平面的で装飾的な様式のもと、とりわけ浮世絵の影響を強く受けているのが特徴です。
(アール・ヌーヴォーは、浮世絵のほかゴシック美術からも影響を受けています。しばしば植物模様や曲線の組み合わせがみられ、絵画ではクリムトやミュシャを例として挙げることができます)

Bilibin_skazka.jpg

右の絵は、サルタン王の留守中に、陰謀によって
妃とその息子が樽に入れられ、海に流されている
場面です。
葛飾北斎の、あの有名な冨嶽三十六景 『神奈川
県沖浪裏』 がモチーフとして使われています。




The_Island_of_Buyan.jpg



  樽が打ち上げられた先で、王子はトビに狙われる
  白鳥を助けました。
  翌朝、目を覚ますと、眼前には城壁のある美しい
  都ができています。
  王子はこの都を統治し、グビドン公と名乗ることに
  なりました。







Bilibin_-_Flight_of_the_Mosquito_convert.jpg



都に貿易商人が来ました。
彼らがサルタン王国へ向かうことを知った王子は、
白鳥の力を借りて蚊になり、船に乗り込みます。
こちらは、歌川広重の冨士三十六景 『駿河薩タ
之海上』 がモチーフになっています。


  The_Merchants_Visit_Tsar_Saltan.jpg

  サルタン王に謁見する貿易商人達。突如表れた不思議な都とグビドン公の事を話しています。
  王の側に女性が3人いますが、彼らが王妃と王子を亡き者にしようとした首謀者です。
  曲線的な植物模様が美しいです。

話の内容やイラストに興味をもたれた方は、 『サルタン王の物語』 という絵本をご覧下さい。
大きな書店に行かないと無いかもしれません(私は図書館で借りました)。



                                                                

2009.08.07

『どことも知れぬ国へ行き、何とも知れぬものをもち帰れ』

Ivan_Bilibin_convert.jpg
イヴァン・ビリビン(1876-1942)/ロシア民話
『どことも知れぬ国へ行き、何とも知れぬものをもち帰れ』 挿絵


昔、ある国に射撃の名人がいました。
彼の妻は大変美しく、王は彼女をどうしても手に入れたくなりました。
そこで王は、射撃手に命じます。

「(中略)どことも知れぬ国へ行き、何とも知れぬものをもち帰ってもらいたいのじゃ。よいか、もしもち帰らなかったら、この剣でおまえの首をはねてしまうぞ」
ロシア民話集 (下) (岩波文庫) p114より引用

この絵は、命令を受けた射撃手が旅に出た後、
王が彼の妻を呼び出して、王妃になるよう
迫っている場面だと思われます。
力ずくで我が物にせんとする王に対し、妻は
薄笑いを浮かべた後、鳩に姿を変えて
飛び去ってしまいました。
一方、射撃手は、あらゆる生物の中で
唯一「それ」を知るという老ガエルに導かれて
目的を達成、18年後に妻の元に戻りました。

一人の人間が知る世界は非常に狭く、その外側には何とも知れぬものが満ち溢れています。
自分が知らない場所に行き、何とも知れぬものをもち帰る。周囲の力を借りて、時間をかけて。
最初にこの話を読んだ時は無理難題に思えましたが、記事を書いているうちに、生きていくと
いうことは この動作の繰り返しかも知れないと思うようになりました。

ちなみに。
射撃手は王の所には帰っていません。どうあっても、首を刎ねられるに決まっていますからね。

                                                                
«PREV | PAGE TOP |  NEXT»
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。